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映画『ウォールストリート』と美術界からの警告

2011. . 20
 
ササビーズ215

『ウォールストリート』は、「ウォール街」の続編オリバーストーン監督作品。続編が今日的要素や同窓会的要素を加えて、これほど鮮やかに出来てしまうこと自体(「根本問題は何も以前から変わっていない」という)、オリバーストーン監督のメッセージ。新しく、重要なテーマは、「モラルハザード」。サブプライム問題から金融危機の最中、世界中を混乱させた中心問題は、モラルハザードであった。米国政府は、公的資金当時の不測の事態(民衆蜂起)に備え、密かに全土で州兵を展開したことは後の報道で分かっている。もともとの発端は、本作でゲッコ-(マイケルダグラス)が大学講演で語る通り、レバレッジ消費を餌にした不動産ポンジー手法(詐欺行為)。個人、証券はじめ銀行・生損保あらゆる機関投資家が加担し、機関投資家担当者は「毒饅頭」に正気を失った。正気を失った集団組織は、暴走し、崩壊する(=ネズミは集団自殺)。金融市場も同様である。なぜなら、金融市場は『複雑系』、強化フィードバックがその本質だから、頻繁にバブルとバストが起こる。
  
 現在、モラルハザードを犯し、金融恐慌を回避した世界経済は、更に悪化しつつある。異例な金融緩和(Q2)による副作用や二次災害(悪い金利上昇、国際商品価格上昇→新興国政治経済の悪化)を引き起こす。映画では、バブル崩壊の最中、娘の信託から1億㌦をかすめ取ったゲッコーは「損失で業界から逃げ出すな。…政府の不良債権オークションでどんどん買取れ」と、公的資金投入を利用したモラルハザードで、11億㌦の利益。現実の世界の出来事を写し取る。世界金融危機以降、世界中(米国だけではない)で所得格差は、今や「欲は合法」であり(脱税は犯罪だが)、一層拡大している。この映画は、金融市場そのものが、インサイダー取引(ジェイコブは、会社破綻寸前に巨額ボーナス小切手を得る)であり、なんら進化していないことを描いている。この映画は、過去の金融危機のレクイエムではなく、プロフィット(予言)映画である。

 オリバーストーン監督は、映画のモティーフを表すために寓意的シーンを用意している。近代絵画の父との異名を持つロココ・ロマン主義時代の画家フランシスコ・デ・ゴヤが手がけた、西洋絵画史上、最も戦慄を感じさせる問題作『我が子を喰らうサトゥルヌス』をベイゼル社破綻に追い込む黒幕の書斎に飾手みせる。問題の絵は、プラド美術館14点の「ゴヤ黒の絵」の一点である。幼児の肉体から流れる生々しい血液の赤い色の効果も手伝って、怪物的かつ幻想的でありながら現実感で迫る。制作当時にははサトゥルヌスの男性器が勃起した状態で描かれていたことが後に判明している。これはサトゥルヌスが生命を奪い取る存在としてだけではなく、生命を与える存在であることも同時に意味している。人間の残酷性・特異性・異常性のほか、理不尽性や不道徳などを表現したとの解釈も唱えられている。本作に込められた様々なテーマに相応しい絵画である。 映画で、ジェイコブは言う「バブルは崩壊し、そして進化する。…人間は狂気とは違う結果を求めて同じことを繰り返す。」と。

 ここで、市場の声を聞いてみよう。絵画ゴヤの値段は値段のつけようもないが、現在、中国マネーが途方もない規模で美術骨董の世界で流れ込んでいると報道されている。そこで以前紹介した美術オークション社、サザビーズ社である。テクニカル分析では、美術界からのバブルの警告と考える。上昇相場3波進展中であり、急騰バブル5波が更に待っている事を考えれば70㌦超が期待できる。バブルが更に膨張するだろう。「曲が突然止まるまで」上げ続ける筈だ。しかし、その時期は…?。株式格言では「5月で売り抜け、11月で買い戻せ」…だが果たして。

 映画の最後、大空高く飛んでいったシャボン玉(バブル)がいつまでも弾けない。まさかそんな事は…あり得ない。
                                                 次週 『ウォールストリート』と上海株価指数 につづく

 
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