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『アンストッパブル』と現場力

2011. . 28
             TRAN相対2
 
 本作は「サブウェイ123 激突」のT・スコット監督作品。被害者想定10万人の危険物質を積んで暴走走する貨物列車を止めるために、ベテラン機関士と新米車掌のアクション・ヒーロー物語。監督とは5度目となるデンゼル・ワシントン、「スター・トレック」で鮮烈な印象を残したクリス・パインと期待通りの演技と素晴らしい臨場感の仕上がり。800メートルもの長大な「超大ミサイル」貨物列車が、大量の危険物質を搭載したまま無人で暴走を始める。このままでは住宅密集市街の急カーブで転覆し、大惨事となる危機が迫る。原因は運転手のミスで、大惨事となれば完璧な『人災』。鉄道会社本社では、経営陣の会社収益至上主義が惨事阻止判断を遅らせ、後手に回る。一方、現実と対峙し、本社に従わない現場は信念で行動を起こす。大惨事でおこる「失敗」の典型。映画では、「現場力」で危機を見事乗り越え、ヒーローが生まれるが…。
 現実は過酷だ。福島原発では、政官民学・マスコミの利権構造や政治的野心が暴走する原発事故対応が遅れた。一方、東電本社の無能ぶりを見た福島原発サイトでは、大惨事阻止に現場力で乗り切ろうとしたが、失敗、水素爆発。放射能汚染の拡散と汚染水の「ダダ漏れ」。最悪な状況が続く中、事実隠蔽と責任逃れの管・官・東電の暴走は止まらない。救いは、文科省への放射線量基準の引き上げ撤回抗議等 民衆の覚醒が起きていること。かつての市民運動の政治家は裸の王様になり果てた(市川房江さんが泣いていよう)。原発利権をしゃぶり尽くした自民党の戯言と娼婦姉妹のように東電に纏わりつく学者とマスコミは打ち捨て、自らの信念で福島市民は行動している。子供を持つ親たちが立ち上がったのだ。
 金融市場でも人為的操作、政府介入は日常的だ。典型的なのは、QE2による過剰流動性によるドル資産の上昇(バブル)である。ノーベル経済学賞受賞のマンデル教授は、QE2後、ドルは高騰し、再度リセッションと米国債務危機の悪化がもたらされ、これがQE3実施に繋がり機能不全の果てないサイクルの暴走が続くとする。過剰流動性の「ダダ漏れ」が最終破局までアンストッパブルという話である。現場の声、金融相場の声を聞こう。株式セクター物流株式の週足は、現在、最終反騰C⑤を進行中或いは既に終了しつつある。またSP500相対では急落、経済活動の根幹である物流が失速していることを示唆している。過剰流動性というステロイド相場の限界が迫る。常軌逸した金融緩和がウォール街や金融資本への生贄だとしたら、その結末は悲惨であろう。

 映画後半で、ベテラン機関士のフランク・バーンズは、既に会社から解雇通知がなされているにも拘らず、未曽有の惨事阻止に命がけで臨む理由を問われ、愛する人を救うためと吐露する。人は崇高な目的の前に、私欲をすて、献身的な生き方が求められているのだが(孫正義氏、武田邦彦教授、、、のように)…。                (了)
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